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食べちゃいたいほど貴方が好き

今季アニメ、まわりがみな『進撃』一色に染まっているなかで、ひっそりと『有頂天家族』にハマッています


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人間は町に住み、タヌキは地を這い、天狗は天空を飛行する。
人間とタヌキと天狗の三つ巴。
それが、この町のおおきな車輪をぐるぐる回している。

わたしは、いわゆる一介のタヌキである。
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舞台は京都。
登場人物は、人間とタヌキと天狗
……という一風変わったプチ和風ファンタジーアニメなのですが。

この主人公・矢三郎(♂・タヌキ)と、弁天様(♀・人間)の淡い恋模様が……もう……切なくて切なくてたまらないのです。


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矢「……なにをそんなに切ながっているのです?」
弁「わたしに食べられるあなたがかわいそうなの」
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弁天様は、かつて矢三郎の父をタヌキ鍋にして食べてしまった人。
いわば天敵。
美しく聡明でありながら、タヌキにとっては恐ろしい存在である彼女に、けれど矢三郎はひそかに惹かれていきます。そしてまた、弁天様の方も。


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矢「……食わなければよいのでは?」
弁「でも、いつかきっと私はあなたを食べてしまうわ」
矢「……『食べてしまうわ』とあっさり言われても困ります。こちらも命にかかわる問題だ」
弁「だって……食べちゃいたいほど好きなのだもの」
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どう頑張っても結ばれないのなら。
どう頑張っても自分のものにならないのなら。

いっそ食べてしまいたい。
ひとりじめしてしまいたい。

『食べちゃいたいほど好き』という告白は、『手をつなぎたい』とか『キスをしたい』とかいうよりもずっとずっと正直な欲求なのだと思います。


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弁「でも好きなものを食べたら……そうしたら、好きなものはなくなってしまうんだもの」
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弁天様は人間。
そして矢三郎はタヌキ。
決して交わることのない異なる種族。

どんなに恋しく思っても、決して結ばれることはない。


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弁「あなたに口出しされたくないわ」
矢「こちらも首を突っ込みたくはありません。そんなものはイヌも食わない」
弁「タヌキのくせに?」
矢「タヌキであったらだめですか?」
弁「……だって私は人間だもの」
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あなたを食べてしまいたい。

けれど、食べたらあなたは無くなってしまう。
今のままのふわふわとした心地いい関係がすべて消え去り、あなたの未来や自由を根こそぎ奪ってしまう。もしかしたら、命さえも。


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そして彼女は手にした酒を飲みながら、なぜか、悲しい、悲しいとつぶやいた。
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弁「おおきな月が出ているわね。丸いものが好きよ。わたし」
矢「……そうですか」
弁「お月さまも欲しいなあ。ほら、取ってきてご覧、矢三郎」
矢「……そんな無茶な。いくら弁天様の頼みでも」
「能なしなのね。なんにも出来ないのだから。あなたはとてもかわいそうなタヌキね」
矢「……なんとでも言ってくださいまし」
「月が綺麗だと……なんだか悲しくなっちまうのよ。わたし」
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月が綺麗ね、と告白する弁天様に、あくまでものらりくらりと逃げ続ける矢三郎。
このとき、弁天様は本当は……矢三郎にちがうことを言ってほしかったんじゃないのかな。

「お月さまが欲しいなあ」
とねだる言葉に、本当は、
「いいでしょう。あなたのためなら、僕があの月に化けて差し上げます」
と返してほしかったんじゃないのかな。


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俺はつくづく不思議だよ。
父上を鍋にして食ってしまった弁天様に、なぜ俺は惚れたりするのかねえ。

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迷い、とまどい、どうすればよいのかと立ち止まる矢三郎に、知人はこう言う。


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「食うということは、愛するということだ」
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のらりくらりと日々を生きる、タヌキの矢三郎。
彼が彼女のために、おおきな月に化けてあげる日は来るのでしょうか。

ひさしぶりに、結末が楽しみでしかたないアニメができました。
もうすぐ最終回。ああ、寂しいなあ。

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